医師と水虫外来

水虫とは足の指先や爪に皮膚糸状菌というカビ(白癬菌)が繁殖することによって起こる感染症のひとつです。日本人の5人に1人、約2,000万人は水虫にかかっていると言われており、その約半数の人には痒みなどの症状がないため、水虫だと気が付かない人も少なくありません。水虫というと中高年の男性や‘お父さん’に多い病気というイメージが強くありましたが、近年ではストッキング・ブーツ・パンプスなど足が蒸れやすい状態で靴を長時間履くことの多い女性の患者数が増加していると言われています。特に若い女性はファッション性を重視する傾向にあるため、従来は梅雨から夏の高温多湿の時期に多かった水虫患者ではありますが、ブーツなどを履く冬の時期に発症する患者数が急増しています。

風邪や頭痛、腹痛、ねんざ、など一般的な病気やケガ、体調不良で病院や医療機関を受診する際には心の葛藤はあまりありませんが、水虫というとどうしてもキタナイ…、恥ずかしい…、人に知られたくない…、という思いを持つ患者さんも多いため、専門外来でこそ、患者さんの心情に配慮しプライバシーを尊重することが大切です。また水虫はしっかりと治療することで根治できる病気であるため、患者さんへの丁寧な説明と治療継続のフォローアップが求められます。

家族や友人であってもなかなか打ち明けることのできない、デリケートな健康問題を扱う専門外来では患者さんとのより深いコミュニケーションが大切になります。勇気を持って受診にきた患者さんの心情を察し、コンプレックスや日常生活の支障となっている変調を改善することで心と身体両方の健康をサポートしていくことが求められます。

水虫は感染しても痒みなどの症状がなく、生命に直接関わる病気でないためにそのまま放置してしまう患者さんが多いのですが、場合によっては顔や頭など他の部分に感染が広がったり、爪に感染した場合には薬の浸透が悪いため外用薬では治りにくくなります。また一般的に水虫は、皮膚の表面(角質層)で繁殖しますが、そこからさらに深い部分の真皮や脂肪組織に黄色ブドウ球菌などの他の菌が感染するリスクを高めてしまいます。感染部分や程度にもよりますが、こうした細菌の二次感染によっては腫れ・発熱・痛みなどの症状が出ることもあるので、水虫が気になる人へは症状が悪化する前に医療機関の積極受診を啓蒙していくことが大切です。

近年は医療の機能分化・細分化が進み、よりピンポイント的に専門領域を追求した外来が増えています。こうした専門医・専門外来は今まで症状が気になっていたのに医療機関を受診できなかった患者さんのニーズに応え、患者さんの身体的健康を取り戻すことで心の健康、社会復帰、QOLなどをサポートする大きな意義を持つ領域です。羞恥心を伴う領域にこそ医学的な根拠や知識に基づいた信頼のある正確な情報や、より効果的な治療を提供できる専門医師が求められています。 

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